2026.01.12

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【命を守るだけではNG】プロが教える「耐震等級3」が必要な理由とコストの真実

【結論】迷わず「耐震等級3」を選ぶべき

「耐震等級3は本当に必要なのか?」その答えと重要な判断基準を最初にまとめました。

  • 【結論】迷わず「耐震等級3」を選ぶべき
    「とりあえず避難できる家(等級1)」では不十分。「大地震の後もそのまま暮らせる家(等級3)」にすることが、家族と資産を守る唯一の方法です。
  • 【根拠】震度7が2回きても「倒壊ゼロ」の実績
    熊本地震の際、基準法ギリギリの等級1は被害が出ましたが、等級3の家はほぼ無傷でした。[出典1]
  • 【基準】浜松エリアで建てるなら「必須条件」
    南海トラフ地震のリスクがある地域ではマスト。安心感だけでなく、地震保険料が半額(50%OFF)になる大きなメリットもあります。

「一生に一度のマイホーム、こだわりたいけれど、予算には限りがある…」

家づくりにおいて、多くの方がこのような悩みを抱えています。
その中で、よく議論になるのが「耐震等級3は本当に必要なのか?」というテーマです。

「今の法律(建築基準法)を守っていれば、等級1でも安全なんじゃないの?」
「そこまでお金をかけるのは過剰スペックでは?」

このように考えるのは無理もありません。しかし、住宅のプロとして、皆様の家族の命を守る立場として、「耐震等級3は過剰ではなく、必須の条件である」と断言します。

この記事では、専門的な用語をできるだけわかりやすく噛み砕きながら、耐震等級3が必要な論理的な理由と、後悔しない家づくりの基準について解説します。

はじめに:そもそも「耐震等級」とは?1・2・3の違いを正しく理解する

耐震等級1・2・3の違いと強度を比較したイラスト図解。等級1(建築基準法レベル・1.0倍)、等級2(長期優良住宅レベル・1.25倍)、等級3(最高等級・警察署/消防署レベル・1.5倍)それぞれの地震時の建物の状態と安全性を解説。

まず、耐震等級という言葉の定義を整理しましょう。
耐震等級とは、「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づいて定められた、建物の地震に対する強さを表す指標です。

数字が大きいほど性能が高くなり、以下の3つのランクに分けられます。

耐震等級1(建築基準法レベル)

国が定めた最低限の基準です。「数百年に一度発生する大地震(震度6強〜7程度)でも、倒壊・崩壊しない」強さとされています。

重要なのは、「倒壊はしないが、損傷する可能性はある」という点です。つまり、命は助かるかもしれませんが、地震後にその家に住み続けられる保証はありません。

耐震等級2(長期優良住宅レベル)

耐震等級1の1.25の強さを持つレベルです。学校や病院など、避難所として使われる公共施設と同等の強さが求められます。長期優良住宅の認定を受けるための基準でもあります。

耐震等級3(最高等級・警察署/消防署レベル)

耐震等級1の1.5倍の強さを持つ、現時点での最高ランクです。警察署や消防署など、災害時の救助活動拠点となる建物に求められるレベルです。

一度の大地震だけでなく、繰り返しの余震にも耐え、地震後も補修なしで住み続けられる可能性が高い強度です。

なぜ「耐震等級3」が必要なのか?決定的な理由は「2回目の地震」

「なぜ耐震等級3が必要なのか?」を解説する図解。決定的な理由は「2回目の地震」への備えであるとし、左側で等級1が1回目の震度7で損傷し、2回目で倒壊リスクが高まる様子をイラストで表現。右側では、震度7が2回発生した熊本地震における木造住宅の被害状況データを提示。耐震等級3は倒壊0棟(0%)でほとんどが無被害・軽微だったのに対し、耐震等級1相当や旧耐震基準では倒壊・大破が発生したことを比較表で示す。結論として、繰り返す大地震に耐え、地震後も住み続けるには耐震等級3が不可欠であると強調している。

「等級1でも倒壊しないなら、それで十分では?」と思われるかもしれません。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。建築基準法(等級1)が想定しているのは、「震度7クラスの地震が1回来たときに、建物が潰れて圧死しないこと」です。

つまり、「2回目」は想定されていません。

熊本地震が証明した「耐震等級3」の実力

2016年に発生した熊本地震は、日本の住宅業界に大きな衝撃を与えました。観測史上初めて、震度7の激震が2回(前震・本震)も発生したからです。

この時の被害状況のデータが、耐震等級3の必要性を何よりも雄弁に物語っています。

【熊本地震における木造住宅の被害状況】

耐震等級 倒壊・崩壊 大破 結果
耐震等級3 0棟 (0%) 2棟 (13%) ほとんどが無被害・軽微
耐震等級2 0棟 (0%) 2棟 (13%) 倒壊は免れた
耐震等級1 (相当) 7棟 (2.5%) 15棟 (5.3%) 一部で倒壊・大破が発生
旧耐震基準 (〜1981年) 215棟 (28.2%) 163棟 (21.3%) 甚大な被害

出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書より作成[出典1]

データ上は等級2も倒壊していませんが、決定的な違いは「揺れ幅(ダメージ)」です。

壁量1.25倍の等級2は、震度7で建物が大きく歪み、構造に損傷が残るリスクがあります。対して1.5倍の等級3は、建物が硬いため歪みが小さく、無傷で耐える可能性が格段に高まります。

家が歪めば、命は助かっても多額の修繕費がかかります。「損傷リスク」を物理的に減らし、地震後も資産を守るために、より強固な等級3を選ぶことが最も賢い選択です。

耐震等級3にするメリット・デメリット

性能を上げれば当然コストはかかります。しかし、長い目で見れば耐震等級3はお得になるケースが多いのです。具体的なメリットとデメリットを比較してみましょう。

「耐震等級3にするメリット・デメリット」を比較した図解イラスト。左側のメリットでは「地震保険が半額(50%割引)」となり、耐震等級1の割引なしと比較して「35年間で数十万円お得に!」なることを解説。右側のデメリットでは「初期費用の増加(数十万円程度)」と「間取りの制限(壁や筋交いが増える)」を挙げているが、「設計技術の向上で開放的な空間も可能!」と補足している。

メリット:地震保険が半額になる

耐震等級3を取得すると、地震保険の割引率が最大になります。

  • 耐震等級1:割引なし(10%割引の場合あり)
  • 耐震等級3:50%割引[出典3]

例えば、35年間で地震保険料を支払う場合、数十万円単位の差が出ることがあります。初期費用のアップ分を、保険料の削減分でかなり回収できる計算になります。

デメリット:初期費用と設計の制約

  • 建築費用の増加: 壁の量を増やしたり、接合部を強化したりするため、数十万円程度のコストアップになる場合があります。(※標準仕様としている工務店であれば追加費用がかからないこともあります)
  • 間取りの制限: 耐力壁(筋交いなどのある強い壁)を多く配置する必要があるため、大開口の窓や広すぎるリビングなど、希望の間取りに一部制限がかかる場合があります。

しかし、最近では設計技術の向上により、耐震等級3を確保しながら開放的な空間を作ることも十分に可能になっています。

「構造計算」をしているかどうかが運命の分かれ道

ここで一つ、少し専門的ですが命に関わる重要な注意点をお伝えします。

同じ「耐震等級3」でも、その計算方法によって「安全の確かさ」が全く違うことをご存知でしょうか?

「『構造計算』をしているかどうかが運命の分かれ道」と題した比較図解。左側の「壁量計算(簡易計算)」は「身長体重だけの健康診断」に例えられ、壁の数だけをチェックする簡易な方法であることを示す。対して右側の推奨される「許容応力度計算(構造計算)」は「全身MRI精密検査」に例えられ、複雑な構造図を用いて柱や梁の一本一本が地震の衝撃に耐えられるかまで徹底的に解析する方法であることを示す。結論として、本当に安心できるのは厳密な許容応力度計算を実施した耐震等級3だけであると強調している。

家の強さを確認する方法は、大きく2つあります。人間に例えるとこれくらい違います。

  1. 壁量計算(簡易計算):
    例えるなら「身長と体重だけの健康診断」です。「壁の数は足りているか?」だけをチェックする簡単な方法で、多くの木造住宅はこれだけで済ませています。
  2. 許容応力度計算(構造計算):
    例えるなら「全身のMRI精密検査」です。柱や梁(はり)の一本一本が地震の衝撃に耐えられるかまで、コンピューターで徹底的に解析する方法です。

実は、簡単な「壁量計算」だけで「等級3相当」と言っている会社も少なくありません。大地震でも本当に安心できるのは、より厳密な「許容応力度計算(精密検査)」をしっかり実施した上での耐震等級3だけです。

「御社は全棟で許容応力度計算を行っていますか?」

住宅会社を選ぶ際は、ぜひこの質問を投げかけてみてください。自信を持って「はい」と答える会社は、耐震性能に対して真摯に向き合っている証拠です。

もちろん、ARRCHは「はい、全棟で行っています」と自信を持ってお答えします。

なぜなら、ARRCHは国が認める「長期優良住宅」を標準仕様にしているからです。 この認定を受けるためには、構造計算によって安全性を証明することが必須条件となります。

つまり、「長期優良住宅が標準である」ということは、自動的に「全棟で構造計算を行っている」という証明になるのです。

見えなくなる部分だからこそ、ごまかしのない確かな計算で、ご家族の命を守ります。

浜松エリアだからこそ、耐震等級3は「標準」であるべき

南海トラフ地震が懸念される、私たちARRCH(アーチ)が活動する浜松市を含む静岡県西部は、耐震等級3は選択肢ではなく「必須」です。[出典2]

浜松は台地や砂地など地盤が複雑なため、建物の強さだけでなく、その土地に合った基礎補強も欠かせません。

「予算のために等級を下げる」のは、「健康診断を受けずに体の不調を放置したまま、高級ブランドで着飾る」ようなもの。予算調整はキッチンや内装で行い、命を守る「家の骨格」だけは妥協しないでください。 地域特性を知り尽くした私たちが、土地選びから最適な耐震計画までサポートします。

ARRCH(アーチ)のモデルハウス一覧はこちら

よくある質問(FAQ)

Q1.制震ダンパーは必要ですか?耐震等級3だけで十分ですか?

耐震等級3は「硬くして耐える」力ですが、制震ダンパーは「揺れを吸収する」装置です。耐震等級3でベースを固め、さらに制震ダンパーを入れることで、繰り返す余震による建物へのダメージを軽減する効果が期待できます。予算が許せば、併用することでより安心感が高まります。

Q2. 耐震等級3でも倒壊することはありますか?

「絶対に倒壊しない」と100%保証できるものではありませんが、過去の熊本地震(震度7が2回)において、耐震等級3の住宅の倒壊数は0棟でした。現時点で考えうる最高レベルの安全性と言えます。

Q3. リフォームやリノベーションで耐震等級3にすることは可能ですか?

可能です(耐震改修)。ただし、壁を補強したり基礎を打ち直したりする必要があるため、新築時に行うよりも高額な費用がかかることが一般的です。また、建物の状況によっては等級3までの引き上げが難しいケースもあります。

Q4. 耐震等級3にすると、窓が小さくなると聞きましたが本当ですか?

耐震性を確保するために壁の量を増やす必要があるため、窓の位置や大きさに制約が出ることはあります。しかし、設計力のある建築士であれば、構造計算を行いながら、必要な耐力壁を確保しつつ開放的な間取りを実現することは十分に可能です。

まとめ:耐震等級3は、未来の安心を買う投資

記事の内容をまとめます。

「耐震等級3は、未来の安心を買う投資」と題したまとめ図解。4つのポイントで解説。1.【必要不可欠】震度7クラスの複数回発生を想定した必須性能。2.【命と資産を守る】等級1は命が限界だが、等級3は地震後も住み続けられる。3.【コスト対効果】初期費用はかかるが、地震保険半額や修繕リスク低減でトータルでお得。4.【確認方法】より厳密な「許容応力度計算(精密検査)」を推奨。

  • 耐震等級3は必要不可欠:今の日本では震度7クラスの地震が複数回起こることを想定すべき。
  • 命と資産を守る:等級1は「命を守る」が限界。等級3は「地震後も住み続けられる」性能。
  • コスト対効果:地震保険の半額割引や、震災後の修繕費リスク低減を考えれば、決して高くはない。
  • 確認方法:できるだけ「許容応力度計算」による等級3を推奨。

家は建てて終わりではありません。何十年も家族の笑顔を守り続けるシェルターである必要があります。

「あの時、耐震等級3にしておけばよかった」と後悔しないために、賢い選択をしてください。

耐震性能についてもっと詳しく知りたい、実際の構造を見てみたいという方は、ぜひ一度Arch(アーチ)のモデルハウスや現場見学会へお越しください。

カタログ上の数値だけでなく、実際の建物の強さをご自身の目で確かめていただけます。

ARRCH

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出典・参考文献

  1. [出典1] 国土交通省 住宅局, 「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書, 2016.
  2. [出典2] 地震調査研究推進本部(文部科学省), 「南海トラフ地震の長期評価(第二版)」.
  3. [出典3] 財務省, 「地震保険制度の概要:保険料の割引制度」.

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