昇り降りするだけじゃない。【階段の基礎知識】について学ぼう!

2022.12.08

昇り降りするだけじゃない。【階段の基礎知識】について学ぼう!

2階建て以上の建物になくてはならないものと言えば…。

そう、【階段】ですよね。

家づくりの際に「まずは階段のことから考えよう」なんていう方はほとんどいないと思いますが(笑)。

でも、階段というのは毎日使いますし、生活動線を考える上で絶対に無視できない部分なんですよね。

つまり、階段=ただ昇降するための手段と捉えてしまうと、新居の快適さに多大な影響を及ぼしかねないんです。

そこで今回は【階段の基礎知識】についてお話していこうと思います。 階段に対する考え方を少しでも知っておくことで、家づくりが一層理想に近づいていくはずですよ♪

階段の種類(構造)について学ぶ

まずは階段の種類(構造)について学んでいきましょう。

大きく分けて5種類に分類されますので、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説していきますね。

直階段

 最もオーソドックスな真っすぐ上がっていくタイプの階段です。

どこにでもあるタイプですので、昇り降りがしやすいのが特徴ですね。

設置するためには、縦に長く、ある程度の広さが必要となりますが、構造的にシンプルなので低コストなのが魅力です。

玄関とリビングの間に設置すれば、自然な形で生活空間と来客空間を分けることが可能ですよ。

デメリットとしては、勾配が急になったり、落下時のリスクが増加することがあげられます。

かね折れ階段

かね折れ階段は、途中でL字に折れ曲がるタイプの階段です(構造上、建物の端に配置されることが多いですね)。

直階段よりも省スペースに収めることができますし、曲がり部分に踊り場を設けることで、安全性が高くなります。

ただし、階段を昇り降りする際の視点が途中で切り替わるため、慣れるまでは足を取られやすいというデメリットがあります。 落下や踏み外しなどのリスクを軽減するために、手すりなどを活用してみてください。

折り返し階段

 L字に折れ曲がるかね折れ階段に対し、折り返し階段は、踊り場などで180°折り返すタイプの階段です。

つまり、Uの字で階段を昇降していくタイプですね。

メリットとしては、かね折れ階段よりもさらにコンパクトなスペースで設置することができます。 また、踊り場を広めに取れるため、階段で転んでも下まで落ちてしまう危険性がかなり少なくなるのが特徴です。

螺旋(らせん)階段

中央にある柱を軸とし、螺旋状にステップを昇降していくタイプです。

全体が円柱状となりますので、水平・直角といった直線的な階段よりも省スペースで設置することができます。

多少コストはかかりますが、デザイン性に優れているため、人気の高い階段です。

デメリットは、上階に大型の家具や家電を運ぶ作業が大変になるという点があげられます。

カーブ階段

階段の途中からゆるやかなカーブを描いていく階段です。

柔らかく、優雅な印象を与えてくれますので、装飾的な意味合いも込めて設置したい方におすすめです。

スペースとしては直階段よりも若干小さめのスペースであれば収めることができます。

ステップのデザイン(外観)について学ぶ

続いて、階段のデザイン(外観)について見ていきましょう。 ステップの種類が違うだけで、階段全体の見栄えや使い勝手が大きく左右されますよ。

■ 箱型

最もポピュラーなのが箱型です。

文字通り、長い箱を段々に積み重ねたような階段ですね。

お洒落度としては弱いのですが、その分、実用性では大きな威力を発揮してくれます。

例えば、階段下のデッドスペースにトイレを設置したり、収納スペースを設けたり…などですね。

また、他のデザインに比べてリーズナブルなのも魅力です。

デメリットは、階段の両サイドが壁に挟まれるなど、視線の抜けが少なく、圧迫感を感じてしまうところです。

■ オープン型

オープン階段は、簡単に言うと「踏み板だけの階段」です。

ストリップ階段やスケルトン階段と呼ばれることもあります。

箱型と異なり、踏み板の下にスペースがありますので、視線が階段の向こう側まで抜け、軽やかさと開放感のある雰囲気を作り出すことができます。

光を遮らないタイプの階段なので、明るさを確保したい空間にはオープン階段が最適です。 デメリットは、箱型階段よりもコストがかかるところです。

■ ひな壇型

箱型やオープン型の変則的な形が、ひな壇型の階段です。

近年人気が高まっているデザインですね。

その名の通り、横から見るとひな壇のように見える階段のことで、階段横の壁をなくすことで広々とした空間を演出してくれます。

限られたスペースで洗練された雰囲気を作り出したい方におすすめです。

人気の「リビング階段」はあり? なし?

ここまで、階段の種類とデザインについて学んできました。
続いては「どこに階段を配置するか?」について考えていこうと思います。
近年の注文住宅では、リビングに階段を設置するスタイルがとても流行っていますよね。
いわゆる「リビング階段」というものです。

リビング階段のメリットはいくつかありますが、代表的なのは2つ。
ひとつは、リビング内に階段を設置するため、廊下を作る必要がなくなり、結果、リビングスペースが広く取りやすくなるという点です。
もうひとつは、上階に行くために必ずリビングを通らなければならないため、家族間で触れ合う機会が増え、自然とリビングに人が集まりやすくなるという点があげられます。
 一方、デメリットとしてあげられるのは、来客時のシチュエーションです。
お客さんをリビングに招くことで、どうしても家族とお客さんが顔を合わせることになり、プライベートが損なわれる恐れがあります。
プライベートを重視したいのであれば、リビング階段ではなく、玄関ホールに階段を配置するスタイルがおすすめです。
また、普段の生活面においてのデメリットも考えられます。
リビング階段はそのまま上階の廊下へと繫がっていますので、暖房やエアコンで作り出した快適な空気がリビングに留まらず、2階へと逃げてしまう恐れがあります(結果、電気代が高くなったりもします)。
さらに、1階のリビングで発生したニオイや音が2階の個室などに影響を与えてしまう場合もありますので注意が必要です。

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いかがでしたか? 階段というのは、ただ上下階を行き来するためのものではなく、どのような種類にするか? どこに配置するか? をしっかり考えることが大切だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

小さなお子様やご高齢の方がいらっしゃるのなら、落下の危険を少しでも軽減するために、かね折れ階段や折り返し階段を考えてみる、より多くの収納スペースを確保するために直線階段を採用してみる…など、ご家族の生活スタイルや過ごしやすさをイメージし、さまざまなシチュエーションを考慮して、階段のイメージを固めてみてください。

「とりあえず付いてればいいや」で済ませてしまうと、思いもよらない悪影響を引き起こすかもしれませんよ。

 最後に“階段の段数”関するミニ知識を! 建築基準法では、階段の1ステップあたりの高さが23cm以下、踏み板の奥行きは15cm以上というボーダーが定められています。

ですので、階段の段数や傾斜というのは、この数字を踏まえた上で決定していくことになります。

階段に使えるスペースや天井の高さ、家族構成などによっても使いやすい段数・傾斜というのは異なってきますが、平均的には、若干緩やかな傾斜になりやすい14~15段を採用する家が多いみたいです。 このこともぜひ参考になさってくださいね♪